とある仙台近郊の市で、災害時に市民へ情報を提供するシステムが最近構築されました。震災後、そのシステムが復旧するまでの顛末です。
私はその構築に関し、市側のアドバイザとして参加していたのですが、震災直後から使えなく(アクセスできなく)なっていました。
市側のインフラが弱く、23年度に整備予定だったため、混乱の中で電力供給がうまく行っていないのだろうと思っていました。
何せ、想定以上の震災ですからね。
仕方ないと思い、復旧には1日、2日はかかるだろうと思っていました。
ところが日曜の午後になっても復旧しません。
私は震災の中、車で市役所に向かい状況を確認してきました。
そこで目にしたのは、整然と稼働しているシステムでした。
OSもシステムも正常に機能し、目立ったエラーログもありません。
話を聞くと、最初は混乱したそうですが、すぐに整理し、システム自体は立ち上げに成功したそうです。
という事は、インフラの問題という事です。
秘書課に行くと、何とか原因を!と頼まれたので、インフラのどの部分が壊れているのかを調査しに行きました。
代替可能なものであれば、私が復旧できますし。
防災とは別な、庁内の情報系システムを管轄している課に行ってみると、そこには運用委託業者のエンジニアがいました。
私の身分を名乗り、理由を聞くことができました。
「キャリアがルーターまで来ていないんです。」
・・・・絶句。
稼働しているルーター、サーバー、スイッチのランプの点滅具合も正常。
異音、異臭もしていません。
確かに情報系もすべてが正常に動作していたのです。
市が契約しているのは、日本で最も大きなキャリア会社です。もちろん公民館等も地域網で結ばれています。
しかも、災害時の通信手段として用いるため、地域網を有効利用する為に、昨年度においてIP電話が可能な交換機に取り換えたばかりです。
IP電話は電話機の交換時に対応していく予定だったので、利用できないのは仕方ないのですが、まさか市庁舎にキャリアが来ないとは。
当然、Webもメールも利用できません。
その理由を秘書に告げ、災害対策本部からキャリア会社に復旧を急ぐよう伝えてもらう事にして引き上げました。
引き上げたのには、電気が復旧し、災害情報を得るためにアクセス集中が予想される某自治体サイトの監視をする事もありますが、大きな理由は、「そこに居ても私は何もすることができない」からです。
まさに私にとっては想定外でした。
その後、1,2日後に一時復旧しましたが、またダウンし、復旧したのは5日後の16日でした。
落ち着いたら、この問題は議論される事でしょう。
また、この問題は複数の行政で発生し、宮城県内で数多くの自治体がWebページの閲覧が不能な事態となりました。
そんな中、宮城県や県警のページを閲覧できたのが幸いで、各自治体の被災情報や避難情報が掲載されていました。
インフラの重要性は再認識すべきでしょうね。