宇宙は特異点から始まったとか、ブラックホールの中心は特異点だとか、とかく話題になる「点」の概念ですが、点が長さと面積のないものと定義してしまうと、「ゼロ」は数学的に計算ができませんから、特異点や素粒子の構造を研究しようにも数学的な限界が生まれてしまいます。
そこで考えられたアイディアが「ひも」理論です。
数学的な点では計算ができませんので、恐ろしく短いひも(10^-35)と定義すれば計算できるという訳で、この長さの最小単位をプランク長といいます。
現在知られている基本素粒子は17種類ですが、素粒子は「ひも」でできており、その振動の仕方により区別されると論じています。従って「ひも」の振動の仕方が重要となりますが、理論上考えられる素粒子をすべて振動で表現するには「縦横高さ」の3次元では足りず、他に6次元必要となってしまいました。こうして6次元を足して9次元とした理論が「ひも理論」です。
この他にも時間を加えた10次元の「超弦理論」や、さらに1次元を加えて11次元とする「M理論」が有名です。ちなみにM理論の「M」を意味する理由は特にないそうです。M理論ではとてつもない数の素粒子を生むことができることから、多次元的宇宙の理論的根拠だとする意見もあります。いわゆる永遠のインフレーション理論です。
この「ひも」にも「開いているひも」と「閉じているひも」の2種類があるとされており、「開いているひも」の双方の端は「ブレーン」と呼ばれる膜に捕らわれており、容易に動くことができませんが、「閉じているひも」は自由に動き回れるため別の次元に移動してしまうことがあります。
重力を司る重力子(未発見)こそがこの「閉じたひも」であり、宇宙を構成する4つの力(強い力、弱い力、電磁気力、重力)のうち、極端に重力の力が弱い理由を説明できるとしています。つまり、他の次元に重力が逃げてしまっているという訳です。
また、ブラックホールを2次元的な「穴」とみたとき、「閉じているひも」の半分が事象の地平面を超えて内部に落ちた状態では見かけ上「ひらいたひも」として捉えることができ、この現象からブラックホールに落ちた物質の情報はその表面に記録されるという理論が考えられました。そしてそれを発展した理論として以前記事にした宇宙ホログラフィック理論があります。
いかがでしたでしょうか。このように「ひも理論」はミクロな世界のみならず宇宙における多くの減少も説明できることから統一理論に最も近い理論とされており、現在も多くの人が研究を続けています。
手のひらをじっと見ても小さすぎる「ひも」や折りたたまれた6次元を見ることはできませんが、数千億の銀河にまたたく恒星よりも多い「ひも」がその手のひらでダンスをしているのです。
最後に、極大の宇宙から極小の世界を模したサイトをご紹介して今回の記事を締めたいと思います。
https://htwins.net/scale2/
(多少簡略化して記載していることをご了承ください)