まずは余談ですが・・・。
今年度(平成22年)の子ども手当は時限立法なのです。
もし、23年度の新たな法案が成立しなければ、児童手当が復活する事になりますが、所得制限のある児童手当を復活させるには、旧システムに戻す必要があります。
つまり、システムの運用を停止した自治体は、再稼働させるため新たな出費を行う必要があります。
政治が変わるとITシステムも変える必要がありますからね。
なんとも無駄な話です。
日本は先進国なのですが、ITに限らず、新しいアイディアや方法論についてあまり議論されることはありませんし、既にIT先進国ではないかもしれませんよね。
ただITニュースや宣伝に踊らされただけの知識を持つ人を増やすだけで、いったいこの国は何をしようと言うのでしょう。
「セキュリティは大丈夫でしょうか」とか「サクサク動きますか」とか、抽象的な言葉のみ先行し、「大丈夫です」とか「動きます」と言おうものなら、「そう言いましたよね?」
あげくの果てには「言った言わない議論になっちゃいますからね」と、議論する事すら拒み、責任を受託者に押し付ける始末。
完璧なITシステム・・・。
多様性を持たず、完璧なものはブラックホールしかないのです。
双子でも、たとえ遺伝子操作で同じ人間を作ったとしても、その成長過程で必ず別な個性が生まれ、決して同じものにはなりません。
その点、ブラックホールは必ずブラックホールであり、宇宙全体で唯一変わらない同一のものなのです。(何せ、原子すら崩壊しているのですから)
脱線しましたね・・・・。
以前、ファイアウオールで「IP制限」と「URL制限」を行ったとき、セキュリティ会社の調査員が、さも得意げに「IPアドレスの制限メッセージがクライアントに送られてきていないので、IPアドレス制限が行われていない」と、ISAサーバーの「URL制限による着信拒否」のエラーメッセージに赤丸を付けてきた事がありました。
英文読めよ・・・URL拒否だろうが・・・。
IP制限以前に「そんなURLはありませんよ」と、知らせているので、もしIP制限に引っかけたいなら、まず「URLのフィルタを通過」しなければなりません。
その程度の事がわからんのかよ・・・。
URLなんて無いって言っているのだから、「存在していることがばればれのIP制限」エラーメッセージが吐き出されるより、よっぼど高度な仕組みなのです。
まあ、サーバーの事を知らないのでしょうね。
その会社は、セキュリティ調査会社の選択を誤ったようです。
最近も、負荷を計測するツールをサーバーに仕込んでくれという依頼があったのですが、何のことはない、パフォーマンスカウンタを利用したCPU負荷を記録してログに残すだけのお粗末な「フリーツール」。
それをしてくれと客先に頼んだのが「ゼ○ック○」ですが、まあ、何屋さんだか知りませんが、随分と幼稚な試験です。
設定したこっちが恥ずかしいですよ。
そんな程度の試験でサーバーのパフォーマンスなんて判断できません。
でも、サーバーを売っているのですよね、これが。
日本製ではありませんけど。
少なくとも、ネットワークトラフィック・CPU・コミットチャージ・DISK-R/Wカウンタを1分おきに計測しなければ、動作状況をはかり知ることはできません。
さて、本題です。
日本は「知ったか」のシステム管理者が多すぎます。
だから前述のような事が起きるのです。
技術的な実務経験に乏しく、本やネットニュースやコラムで読んだ知識をひけらかし、業者に「俺は知っている」的な発言を繰り返してばかり。
もちろん業者は売りたいので意見しません。
メーカーなど、システムを提供する側は、仕事が欲しいから否定しない、否定しないばかりか、「ごもっとも!」とばかりに、前述のような幼稚なツールやありきたりのセキュリティ検査レポートで「どやっ!」とばかりに、どや顔レポートを提出する。
まさに裸の王様です。
怖いのは、その様なIT文化を育ててしまうと、既存の枠から出ることもなく、新しい発想やチャレンジが行われなくなり、文化が停滞してしまう事なのです。
そんな話をすると「責任は誰がとるのか」といった議論になりますが、そんな事を言う担当者はITシステムの管理者には向いていません。
ITシステムとは、達成率80%でも「大成功」なのであって、残りの20%に発展とアイディアを育むチャンスがあるのです。
私はその20%を「次期ITの卵」と考えており、20%を解決する為に努力し、頭脳を使う事で、次の進歩につながると考えています。
そう、失敗の分析こそが大事なのです。
まあ、私の人生の成功率は40%にも満ちてませんが・・・。