仮想化がクラウドという訳ではなく、ASP がクラウドという名前に置き換わっただけではありません。
Microsoft が提供するクラウド Windows Live! がそうであるように、クラウドにはいくつかの特徴があります。
利用者側から見たクラウドはおよそ以下の特徴があります。
1.利用者はどのサービスを利用しても統一されたユーザーインターフェースで利用することができる。
2.利用者は一度サインイン(ログオン)すればすべてのサービスを利用することができる。(シングルサインオン)
その他には、「あたかも自分のパソコンにアプリケーションが存在するような印象を持つ」などがありますが、それはアプリケーションの仮想化であるため、クラウドとは少しはずれているような気がします。
クラウドを提供する側としては以下の特徴があります。
1.設備投資やアプリケーションのバージョンアップなどは、機能にではなく、利用者側の感覚から見たシステム全体に対してアプローチする。
2.保守はシームレスに可能な限り自動化する。
こういった事を目指すのが、「クラウド」の実態です。
もちろん、世間的に言われている、「運用コストの軽減」という効果もあります。但し、クラウドを「共有」する事により実現可能なことで、「共有」しなければパッケージアプリケーションと何ら変わりません。
クラウド化は単なるコスト削減やエコ推進ではなく、利用者側と管理者側の負担を軽減し、複雑化するコンピュータシステムの運用コストが「増大する前」に、シームレスな利用と自動的な運用管理を進めることによって、今後発生するコストを抑える事が目的なのです。
この対策を怠ると、ユニファイドメッセージングや新しいネットワーク技術、例えばアプリケーション仮想化などを導入した時、今まで以上に莫大な運用コストが発生してしまいます。
派手な宣伝文句でクラウドを商売にしてしまうCMに惑わされることなく、私の考えるような「クラウド化」を目指してください。
簡単に言えば、「管理もクラウド化」しなければ運用コストは下がりません。むしろ増大するのです。
この事を、私は勝手に「クラウド」を皮肉って「ファイン」と呼んでいます。
まさに、コンピュータシステム管理の「はれ上がり」です。