特異点というものがありました。
その時点では対称性が保たれ安定していたのですが、あるとき、突然均衡が崩れて「インフレーション」という現象が起きました。
インフレーションはビックバンの前の状況で、なんと、光よりも速い速度で膨張したのです。
その後、野球ボール大の大きさまで大きくなり、太陽の中心温度の1兆倍の1兆倍という高温の中でビックバンが起きました。
そけだけの温度の中では何も存在できません。
エネルギーだけが存在していました。
1秒後には太陽系の大きさの10倍まで大きくなり、以後、宇宙は冷え、光の速度で今でも膨張を続けています。
宇宙の縮図は、その1秒の間に作られたのですよね。
あまりにも高熱だったため、今でもビックバンは波長が伸びた電波の状態で測定することができます。
そのビックバンの名残り電波のことを「宇宙背面放射」と呼びます。
「宇宙背面放射」を観測することによって、対称性が保てなくなった特異点がビックバンを起こした時の地図ができました。
(NASA ホームページより) このような不均一な配置ができた理由は、「ゆらぎ」と呼ばれる素粒子独特の動きによるものだと言われています。
みなさんご存じの電子は、原子の周りを衛星のように回っている絵だと思いますが、実際の電子は同時に数か所に現れたり、瞬間移動したように見えるなど、予測不可能な「ゆらぎ」を元に動いています。
もし、こういったゆらぎがなければ、宇宙は均等に広がるため、チリやガスが片寄ることにより発生する重力も生まれず、銀河や惑星は生まれなかっただろうと言われています。
前回お話した物質と反物質の戦いも、こうした宇宙誕生の背景の中で行われたのですよね。