被災地を巡る途中に龍泉洞(日本三大鍾乳洞)に寄った。
龍泉洞は洞窟の中に水を湛えたとても美しい洞窟で、その水は世界でも有数の透明度を持ち、第三地底湖では水深が120mと、まさに地底湖である。
龍泉洞レストハウスで昼食をとったのだが、到着してからというもの、何やらずっと違和感があった。観光客が一人もいないのだ。お土産を買って帰るまでの小一時間、お客さんは私だけ。レストハウスの方に話を伺うと、休日の客足は多少増えるものの、震災以来ずっとこの調子。特に平日は今までで最も酷いとの事であった。少なくともこの地の被害は観光できないというレベルではない。予想以上に深刻な状況であった。帰りのお土産屋さんで買い物をしてきたのだが、その時の「ありがとうございました」という言葉には感謝の気持ちが溢れんばかりに込められていた。。
釈然としない思いを胸に、グリーンピアに向かった。
グリーンピアは避難所と仮設住宅が隣接している。戻って聞いた話だが、仮設住宅に入ってしまうと食事などは自分で作らなければならなくなるため、なかなか仮設住宅が埋まらないそうだ。一見我儘に思えるが、周りの環境をみると仕方ないのかもしれない。グリーンピアは自然豊かな場所に作られており、近隣に商店街などない。敷地内に仮設の商店が営業してはいるのだが、当然品物は限られているし、隣町も被災しているので簡単に買い物ができる状況ではないのだ。
避難所にはインターネットコーナーがあった。衛星通信で引いたそうで、避難所全体にWiFi公開している。そのため個々の閲覧速度はお世辞にも速いとは言い難い。また、私が持って行ったiPad2の3G回線も酷く遅く、通信事情を聞いたところ、携帯のauであればある程度の速度は出るが、夜半は同様に遅くなるとの事であった。
避難所のインターネットで問題になるのは、子供がゲームをして遊ぶから使わないという場所が多い事だ。特に避難所の運営は自治会が多く、市の職員は補佐的にいる事が多い。自治会でPCを撤去するという方針であれば、例えPCが配布されていたとしても使う事が出来ない。この問題は配布するPCの数が少ないところに多くみられる。私が実際に避難所を巡ったり、PC配布の段取りを行った中で感じたことは、10人に1台のPCが必要。そのくらいないと平等には行きわたらない。
この避難所の方は田老町などの沿岸部から避難してきた方たちである。写真のように河口から山がせり出しており、その分津波の高さが増し、数キロ先まで押し寄せている。
つづく。