久しぶりに宇宙のお話です。
果ての話をする前に、宇宙はどのくらい大きいのかお話しましょう。
宇宙背面放射の事を以前に書きましたが、宇宙背面放射が観測できるのは「宇宙の晴れ上がり」以後の状態なのです。
「宇宙の晴れ上がり」以前、光はビックバン後の混沌とした宇宙を通過する事ができませんでした。
その混沌としていた時代、光はあちこちの素粒子にぶつかり、ちょうど霧の中のヘッドライトのように遠くまでは届かなかったのです。
背面放射は宇宙の始まりから37万9千年ほど後の、例えれば霧が晴れ上がった時の像なのです。
それが「晴れ上がり」です。
それを含めた年数として、宇宙の誕生であるビックバンから現在までは、およそ137億年経っている事が解っています。
では、宇宙の大きさは半径137億光年なのでしょうか。
そころがそうではないのです。
「地球から」可視できる宇宙は、465億光年であり、観測できるもっとも遠くの物質は460億光年にあります。
では、背面放射の像から計算した「宇宙の中心からの」距離はどの位あるのでしょうか。
直径780億光年というとてつもない距離です。
数字からもうお判りかもしれませんが、宇宙の膨張速度は光の速度を超えているのです。
それどころか、いまだ加速しています。
銀河が持つ重力と宇宙をつなぎとめようとするダークマター(暗黒物質)を凌ぐダークエネルギーが、今でも宇宙を加速度的に膨張させているのです。
いずれ、ダークエネルギーが尽き、重力と暗黒物質の力が勝れば、宇宙は1点に収束を始めるでしょう。
反対に、いつまでもダークエネルギーが勝れば、宇宙は広がり続け、星々は互いに遠く離れ、暗黒の冷たい宇宙となることでしょう。
あるいは、広がりに限界が来たとき、宇宙は風船のように破裂してしまうかもしれません。
では、本題です。
宇宙の果てはどうなっているのでしょう。
そこには時間も空間もありません。
無を空間に例える事がありますが、空間すら存在していません。
私流に答えるなら、夢と現実との境界点が果てと言えるでしょう。
夢を見ているとき、あなたは空間を意識しています。自由に空間を移動し、現実のように空間を走り回り、時として飛んだりします。
しかし、そこに空間は存在していません。
夢の中のあなたは、そこを空間であると認識しますが、夢の中には物理的な空間はありません。
周りの3次元空間にいる人はあなたを認識できますが、夢を一緒に見る事も、何の夢を見ているかも知ることができません。
そして、夢から覚めた時、あなたは3次元の空間に存在します。
人間は、宇宙の果ても空間と認識しますが、そこに空間はありません。
宇宙の果ての先には、何もないのです。
言葉を使えば、空間も時間もない、ただの「」なのです。
いずれ、科学の力で「」にどのような言葉が当てはまるのか判明するかもしれません。
宇宙の果ての先を説明する言葉さえ、人類は持っていないのです。
宇宙の果てのお話でした。