ソフトンハウス・トップへ
積 緋露雪
虚妄の迷宮
BLOG HOME
思索に耽る苦行の軌跡
Calendar
<<4月>>
.123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930
Category
思索(98)
→リスト表示する
Archive
アーカイブはありません。
Parts
パーツはありません。
Latest Blog
jotf1967
4月26日(金)...
jotf1967
4月25日(木)...
jotf1967
4月24日(水)...
jotf1967
4月23日(火)...
tonton
2024年4月の動画関連...
tonton
国の政策を速く変えるには...
tonton
核をもつことの有利不利...
tonton
浮世絵アートやシーン...
tonton
Pinterest写真展...
jotf1967
4月22日(月)...
jotf1967
4月21日(日)...
Messages
夢魔 二
幽閉、若しくは彷徨 四十...
黙劇「杳体なるもの」 七...
幽閉、若しくは彷徨 四十...
水際 七
幽閉、若しくは彷徨 四十...
睨まれし 七
幽閉、若しくは彷徨 四十...
ざわめき 七
幽閉、若しくは彷徨 四十...
嗤ふ吾 五
幽閉、若しくは彷徨 四十...
蘗(ひこばえ) 二...
幽閉、若しくは彷徨 四十...
夢魔 一
幽閉、若しくは彷徨 四十...
黙劇「杳体なるもの」 六...
幽閉、若しくは彷徨 四十...
水際 六
幽閉、若しくは彷徨 三十...
→リスト表示する
[最新順表示]  1 件
 [リストを表示] 1頁10件 1/1(1件)
2009/02/05 17:33:50 プライベート♪
思索
幽閉、若しくは彷徨 十八
――これも夢想に過ぎぬかもしれぬが、《反体》が此の世に仮初にも出現したならば、《実体》は震へ慄く筈だと思うが……如何かね? 


――ああ、《実体》にとって《反体》の出現は恐慌以外の何ものでもない。


――にも拘らず、存在する《もの》全てはその内部に特異点を隠し持ち、其処で《実体》と《反体》を共存させてゐるといふ不思議を、《魂》を持ち出すことで取り繕ってはみたが、しかし、そもそも何故《反体》なんぞでっち上げなければこの存在が語れなくなってしまったのだ? 


――へっ、簡単なことだよ。《主体》そのものが行き詰まって、どん詰まりの処に追ひ込まれてしまったからさ。


――つまり、《主体》自らが《主体》の首を絞めてゐるといふことか? 


――さうさ。


――では何故《主体》は自ら《主体》の首を絞めざるを得なくなってしまったのだ? 


――へっ、《主体》に《自由》は持ち切れないからさ。


――《自由》が持ち切れない? その《自由》とは《無限》と同義語かね? 


――ああ、もっと端的に言へば、時間もまた《無限》の《自由度》を持つといふことさ。


――時間の《無限》の《自由度》とは、つまり、《渾沌》のことかね? 


――さうさ。つまり、時間はそもそも《渾沌》としたものに違ひないのだ。


――しかし、時間に《秩序》を与へた科学的なる思考法、或ひは世界認識の仕方は大成功だったのじゃないかね? 


――ふっ、さう思へるのかい、本当のところは?


――むむ……。 


――詰まる所、お前は既に現状の世界認識の仕方では《世界自体》が逃げ果せてしまふ思考の《裂け目》を見てしまったのじゃないのかね? 


――それは特異点のことかね? 


――へっ、何と呼んでも構はないが、お前は《パスカルの深淵》を覗き込んでゐる内に、その《深淵》にもんどりうって飛び込んでしまった――違ふかね? 


――つまり、それが《反体》の素顔だと? 


――ふっ、《パスカルの深淵》を《自由落下》する《意識》において、《実体》と《反体》は対消滅を繰り返しては「吾は此処なり!」といふ断末魔の閃光を煌めかてゐる……さう思はないかね? 


――《主体》たる《客体》に圧し潰され……追ひ詰められた《主体》は最早《パスカルの深淵》に飛び込まざるを得なかった……さうには違ひないが……《主体》はそもそも《実体》と《反体》の対消滅に堪へ得ると思ふかい? 


――へっ、堪へるしかないのさ、生き残るには。


――本当に《主体》は其処まで追ひ詰められてしまったのであらうか? 


――ああ、時既に遅しさ。ハイデガーは優しく《投企》若しくは《企投》と言ったが、《主体》は《世界》に《投身自殺》しなければ最早生き残ることが不可能なまでにその存在根拠を剥ぎ取られてしまったのさ。


――何に存在根拠を剥ぎ取られたといふのか? 


――《主体》自らに決まっておらうが! 


――それで《反体》の登場かね? ふっ、可笑しくて仕様がない! 


――可笑しいかね? ならば嗤ふがいいさ。ふっ、顔色が真っ青だぜ。


と、不意に彼の闇の視界にぼんやりと輝く人玉の如きものが飛び込んで、くるくると反時計回りに旋回をし始めたのであった。


 彼にはそれが死んだもの達の魂の残滓に思へ、死者達もまたこの彼の頭蓋内の闇で繰り広げられてゐる自問自答の行く末に聞き耳を立ててゐると感じずにはゐられなかったのであった……。


(十八の篇終はり)


自著「夢幻空花なる思索の螺旋階段」(文芸社刊)も宜しくお願いします。詳細は下記URLを参照ください。
http://www.bungeisha.co.jp/bookinfo/detail/978-4-286-05367-7.jsp
TB(0) | 記事URL |コメント |通報
画面TOPへ [最新順表示]  1 件
Profile
積 緋露雪
性別男性
年齢45歳
誕生1964年2月25日
星座うお座
血液O型
身長172cm
体型痩身
職業物書き
地域関東
性格穏やか
趣味読書,クラシック音楽鑑賞
チャーム特になし
自己紹介
3度の飯より思索好き今もって独身
Parts

にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ
にほんブログ村 哲学・思想ブログへ
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へ
にほんブログ村 科学ブログへ
にほんブログ村 科学ブログ 物理学へ
ブログランキング・にほんブログ村へ
ブログランキング・にほんブログ村へ
Favorite
お気に入りはありません。
パーツはありません。
今日
今月
累計
掲載情報などの無断転用・転載を禁止します。著作権は 株式会社ソフトウエア開発 に属します。
本サイトに関するお問い合わせ、広告等の掲載依頼は ソフトンハウス運営チーム までご連絡ください。