ソフトンハウス・トップへ
積 緋露雪
虚妄の迷宮
BLOG HOME
思索に耽る苦行の軌跡
Calendar
<<4月>>
.123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930
Category
思索(98)
→リスト表示する
Archive
アーカイブはありません。
Parts
パーツはありません。
Latest Blog
jotf1967
4月26日(金)...
jotf1967
4月25日(木)...
jotf1967
4月24日(水)...
jotf1967
4月23日(火)...
tonton
2024年4月の動画関連...
tonton
国の政策を速く変えるには...
tonton
核をもつことの有利不利...
tonton
浮世絵アートやシーン...
tonton
Pinterest写真展...
jotf1967
4月22日(月)...
jotf1967
4月21日(日)...
Messages
夢魔 二
幽閉、若しくは彷徨 四十...
黙劇「杳体なるもの」 七...
幽閉、若しくは彷徨 四十...
水際 七
幽閉、若しくは彷徨 四十...
睨まれし 七
幽閉、若しくは彷徨 四十...
ざわめき 七
幽閉、若しくは彷徨 四十...
嗤ふ吾 五
幽閉、若しくは彷徨 四十...
蘗(ひこばえ) 二...
幽閉、若しくは彷徨 四十...
夢魔 一
幽閉、若しくは彷徨 四十...
黙劇「杳体なるもの」 六...
幽閉、若しくは彷徨 四十...
水際 六
幽閉、若しくは彷徨 三十...
→リスト表示する
[最新順表示]  1 件
 [リストを表示] 1頁10件 1/1(1件)
2009/10/26 06:49:30 プライベート♪
思索
睨まれし 六

――といふと? 





――つまり、《死》は全《存在》に平等に賦与されてゐるからね。だから、xの零乗が全て《一》に帰すことに、平等なる《死》といふ《もの》の匂ひが如何してもしてしまふのさ。





――さうか……。これは愚問だが、《死》の様態は《死》以外にあり得るのだらうか? 





――《死》の様態? 





――さう。《生》が完全に《死》へ移行した時、その《死》の様態は《死》以外にあり得るのだらうか? 





――それは俗に言ふ「死に様」ではないよな。Xの零乗が全て平等に《一》に帰す如き故の《死》の様態だよな。





――ああ。単なる「死に様」ではない。「死に様」には未だ《生》が潜り込んでゐるが、完全に《死》した《もの》の様態は、不図、平等なのかなと思っただけのことさ。





――くっくっくっ。それは《生者》が、若しくは此の世に《存在》した《もの》全てが死の床に就いた時に自づと解かることだらう。それまで《死》するのを楽しく待ってゐるんだな。





――それでは極楽浄土と地獄があるのは如何してだらう? 





――くっくっくっ。それはミルトンの四元数(しげんすう)とか八元数とか一見晦渋に見える《もの》を無視すると、数に実数と虚数が《存在》するからじゃないのかね? 





――実数と虚数? それじゃ、複素数は何かね? 





 その刹那、《そいつ》は更に眼光鋭く私を睨み付けたのであった。





――複素数こそ《生》と《死》が入り混じった此の世の様態そのものさ、ちぇっ。





――複素数が此の世の正体だとすると、それは実数部が《生》で虚数部が《死》を意味してゐるに過ぎぬのじゃないかね。さうすると極楽浄土と地獄は複素数の何処にあるのかね? 





――ちぇっ、下らない。複素数の実数部が《生》で《死》は零若しくは∞さ。虚数部は死後の《存在》の有様に過ぎぬ。





――さうすると、《死》の様態は±∞個、即ち∞の二乗個あることになるが、それを何と説明する? 





――此処で特異点を持ち出してくると如何なるかね? 





――特異点? つまり1/0=±∞と定義しちまへといふ乱暴な論理を展開せよと? 





――先にも言った筈だが、矛盾を孕んでゐない論理は論理たり得ぬと言ったらう。





――しかし、それは独り善()がりの独断でしかないのじゃないかね? 





――独断で構はぬではないか。





――さうすると、∞の零乗も《一》かね? 





――さう看做したければさう看做せばいいのさ。所詮、此の世に幸か不幸か《存在》しちまった《もの》は、その内部に特異点といふ矛盾を抱へ込んでのた打ち回るしかないのさ。さうして《生》を真っ当に生き切った《もの》のみが零若しくは∞といふ《死》へと移行し、さうしてその時、ぱっと口を開けるだらう《零の穴》若しくは《∞の穴》を《死者》は覗き込むのさ。其処で目にする虚数の世界が《死霊(しれい)》の世界に違ひないのさ。





――埴谷雄高かね? 





――さう。するとお前も霊の《存在》は認める訳だね。





――ああ、勿論だとも。





 その時の《そいつ》のにたり顔ったら、いやらしくて仕様がないのであった。すると《そいつ》は





――しかし、虚数i若しくはj若しくはkは自身を二乗すると−1へと変化する。これをお前は何とする? 





と、私に謎かけをしたのであった。





――ふむ。−1、つまり、負の数ね。それは、影の世界のことではないのかね。





――ご名答! 闇の中にじっと息を潜めて蹲ってゐる影の如き《もの》こそ負の数の指し示す《存在》の様態だ。





――それは透明な《存在》と言ひ直してもいいのかい? 





――へっ、別にどっちだって構ひやしない。土台、全ては闇の中に蹲って《存在》する負の数といふ《陰体》なのだからな。





――《陰体》? 





――つまり、光が当たらなければ見出さぬままに未来永劫に亙って闇の中に蹲って息を潜めて《存在》し続ける《もの》を《陰体》と名指しただけのことさ。





――さうすると、極楽浄土と地獄とは一体何なのかね? 





――くっくっくっ。《死》した《もの》が《零の穴》若しくは《∞の穴》を覗き込んだ時に目にする絶対的に《主観》の世界像のことに決まってをらうが。





――《死》んだ《もの》が《零の穴》若しくは《∞の穴》を覗き込んだ時に目にする絶対的に《主観》の世界像? 





(六の篇終はり)







自著「夢幻空花なる思索の螺旋階段」(文芸社刊)も宜しくお願いします。詳細は下記URLを参照ください。
http://www.bungeisha.co.jp/bookinfo/detail/978-4-286-05367-7.jsp



TB(0) | 記事URL |コメント |通報
画面TOPへ [最新順表示]  1 件
お名前
URL
タイトル
コメント
※この番号を下記に「半角数値」で入力してください。
画像認証
  コメントの投稿時には画像認証に表示されている番号を入力してください。
  投稿記事が削除された場合は、同時にコメントも削除されますのでご了承ください。
  ブログの管理者が承認しないとコメントが反映されない場合もあります。
  宣伝を含むコメントは予告せずに削除いたしますのでご了承ください。
  その他、ソフトンハウス運営チームが予告せずに削除する場合があります。
  アダルト関係のリンクの掲載は利用規約違反とみなします。
  公序良俗に反するコメントは不正アクセスとして通報させて頂きます。
Profile
積 緋露雪
性別男性
年齢45歳
誕生1964年2月25日
星座うお座
血液O型
身長172cm
体型痩身
職業物書き
地域関東
性格穏やか
趣味読書,クラシック音楽鑑賞
チャーム特になし
自己紹介
3度の飯より思索好き今もって独身
Parts

にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ
にほんブログ村 哲学・思想ブログへ
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へ
にほんブログ村 科学ブログへ
にほんブログ村 科学ブログ 物理学へ
ブログランキング・にほんブログ村へ
ブログランキング・にほんブログ村へ
Favorite
お気に入りはありません。
パーツはありません。
今日
今月
累計
掲載情報などの無断転用・転載を禁止します。著作権は 株式会社ソフトウエア開発 に属します。
本サイトに関するお問い合わせ、広告等の掲載依頼は ソフトンハウス運営チーム までご連絡ください。