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| | | | | | | | | | | | | | | | | 2009/04/20 04:56:38 プライベート♪ | | | 思索 | | | 幽閉、若しくは彷徨 廿九 | |
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――へっ、また堂々巡りだね。先にも言った通り《時間》を一次元的に押し込めることに元々無理があることに《存在》は薄々気付き始めてゐるが、しかし、その《時間》が無限の相を持つことを極度に嫌ってゐる。それは何故かね?
――《時間》が無限の相を持つとは即ち渾沌に外ならないから……か……?
――さう。無秩序が怖いのさ。《主体》内部の《意識》では《過去》と《未来》を自在に転倒させてゐるのに、その《意識》で起きてゐることが《存在》の外部で起こることを極度に嫌って、怯えてさへゐる。へっ、それは、つまり、己が怖いからだと思はないかい?
――例へば、《主体》が思念するとそれが立ちどころに具現化してしまふ魔法をその《主体》たる《存在》が手にしたならば、其処に現はれるのは多分に収拾がつかぬ渾沌であり、またそれは、己を崩壊へと追ひ込む《実体》が《発散》するといふ《主体》が最早《存在》であり得ぬ死相のやうな相で満ちた不気味極まりない世界といふことか?
――勿論。《主体》が魔法を手にすれば《主体》が何であれ必ず《主体》自体を滅ぼす外に《主体》には魔法の使ひ方が一向に解からぬ筈だ。
――それは……己が怖くて仕方がなく……その上怖い《もの》はそれが何であれ全て己の敵であって……「敵は殺せ!」といふ……或る種普遍化した論理の呪縛から《主体》たる《もの》……如何足掻いても……遁れられぬ《主体》の性(さが)故にか?
――へっへっ、漸く《もの》の本質が解かって来たじゃないか。《存在》するとはそもそも《他》の《死》なくしてはあり得ぬのさ。つまり、「敵は殺せ!」の淵源に「食ひ物は殺せ!」といふ《存在》が存続するには如何あってもさうせずにはゐられぬ《殺生》が《存在》には必ず付いて回る。その上《生命》の誕生もまた何億匹の精虫の《死》と卵子の《死》の上でしか起こり得ない。これが悪意でなくて何とする!
――付かぬ事を聞くが、《殺生》は悪意かね? ならば無機物を喰らって有機物を生成する《生き物》のことは如何考へる?
――ちぇっ、《死》して元に還る、そして、此の世は《循環》してゐると言ひたいのかね?
――一つ尋ねるが、《死》は悪意かね、それとも慈悲かね?
――慈悲……か……。
――《死》して全ては無機物へと分解され、再び土に還る。
――だが、再び無機物は有機物へと変容する。
――ちぇっ、此処で、輪廻と言ひ切りたいところだがね……。
――へっ、魂が永劫に彷徨するか――。
――ならば何故《もの》は何かへと変容することを運命付けられてゐるのか、お前には解かるかね?
――つまり、それはこの宇宙の、換言すれば《神》の意思じゃないのかね。
――では何故この宇宙は新たな物質を創出するべく星を誕生させ、そして死滅させるのかね?
――へっへっ、太陽系が誕生する遥か以前に星々が死滅しなかったならば吾等人間も生まれはしなかったか――へっ。
――つまり、この宇宙、即ち《神》すらも暗中模索の中、手探り状態で新たな《もの》、即ち《新体》を誕生させてゐるとすると、未完成で生まれ落ちて死する吾等《存在》共が行ふ《殺生》において未完成品が未完成品を喰らふことで完璧なる《新体》が万に一つでも誕生する《可能性》があるとするならば、《殺生》もまた《神》が未完成品たる《存在》に与へた慈悲ではないのか?
――つまり、《死》あればこそ《新体》が創出されると?
――太古の昔から創造と破壊は双子の兄弟のやうに、例へばヒンドゥー教のシヴァ神の如く未完成の《存在》共には表象されて来た。
――だから如何したといふのか? それは《神》が此の世の開闢の時に此の世の仕組みをさうせざるを得なかったに過ぎぬのじゃないかね?
――では何故《神》は此の世をその様にしか創出出来なかったのだらうか?
――《神》すらも此の世に何が生まれるか解からなかった――。
――つまり、《神》すらも此の世を手探り状態でしか創出出来なかった。さうすると、新たなる存在体、即ち《新体》を誕生させてみては、その誕生してしまった《新体》がどうなるのかは《神》すらも解からず、それでも此の世に誕生してしまった《新体》はその《存在》を味はひ尽すべく全身全霊で己が《存在》の如何なるものかを体験し確認する以外にその《存在価値》がないやうに出来てゐて、未完成品に過ぎなかった《新体》が最早古びた《存在》でしかないのでそんな《存在》にはさっさと此の世から退場して貰(もら)ふべく如何しても《死》が必要だったのかもしれぬ。何故なら未だに完璧な《存在》は此の世に誕生していないからね。へっ、詰まる所、未完成品は《死》をもってその《存在》を全うするしか道は残されてゐないならば、へっ、それは或る意味《神》の無責任さでもあるが、しかし、《存在》のその《存在根拠》を《神》に全的に帰するのは今度は《存在》にとっての無責任極まりない愚行ならばだ、未完成品たる《存在》は未完成品として凛と此の世に屹立する以外、吾等未完成品の《存在》はこの宇宙に対して申し訳が立たぬとは思はぬか?
――申し訳が立たぬ? これは異なことを言ふ。それじゃまるでこの宇宙は慈悲深き《もの》といふことじゃないか! 馬鹿が――。
――しかし、《殺生》も《死》も此の世に厳然と《存在》する。
――しかしだ、《死滅》することが定められた結局は未完成品の《存在》しか創出出来ない《神》、即ちこの宇宙は、己自身にも思ひもよらぬ《新体》が出現するのを待ち望む故に死屍累々たる《死》を用意せざるを得なかったとしてもだ、《実体》も《反体》も《反=生》も《反=死》も結局は《存在》してしまふことでその《存在》は全く報はれないのじゃないかね? 而も、己の《存在》を維持するのに《他》の《死》が必須と来てりゃあ、全く何をか況やだ。
――それでも《存在》は《死》するまで《存在》を止められない。
――さう仕組んだのは《神》自身、即ちこの宇宙自体だらう?
(廿九の篇終はり)
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| | | | | | | 積 緋露雪 | | | | | | | | | | 性別 | 男性 | | 年齢 | 45歳 | | 誕生 | 1964年2月25日 | | 星座 | うお座 | | 血液 | O型 |
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| | | | | 身長 | 172cm | | | 体型 | 痩身 | | | 職業 | 物書き | | | 地域 | 関東 | | | 性格 | 穏やか | | | 趣味 | 読書,クラシック音楽鑑賞 | | | チャーム | 特になし | | | | 自己紹介 | |
| 3度の飯より思索好き今もって独身 | |
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