ソフトンハウス・トップへ
積 緋露雪
虚妄の迷宮
BLOG HOME
思索に耽る苦行の軌跡
Calendar
<<4月>>
.123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930
Category
思索(98)
→リスト表示する
Archive
アーカイブはありません。
Parts
パーツはありません。
Latest Blog
jotf1967
4月18日(木)...
jotf1967
4月17日(水)...
kazu
あぜ道で
jotf1967
4月16日(火)...
jotf1967
4月15日(月)...
jotf1967
4月14日(日)...
jotf1967
4月13日(土)...
jotf1967
4月12日(金)...
jotf1967
4月11日(木)...
jotf1967
4月10日(水)...
jotf1967
4月9日(火)...
Messages
夢魔 二
幽閉、若しくは彷徨 四十...
黙劇「杳体なるもの」 七...
幽閉、若しくは彷徨 四十...
水際 七
幽閉、若しくは彷徨 四十...
睨まれし 七
幽閉、若しくは彷徨 四十...
ざわめき 七
幽閉、若しくは彷徨 四十...
嗤ふ吾 五
幽閉、若しくは彷徨 四十...
蘗(ひこばえ) 二...
幽閉、若しくは彷徨 四十...
夢魔 一
幽閉、若しくは彷徨 四十...
黙劇「杳体なるもの」 六...
幽閉、若しくは彷徨 四十...
水際 六
幽閉、若しくは彷徨 三十...
→リスト表示する
[最新順表示]  1 件
 [リストを表示] 1頁10件 1/1(1件)
2009/04/11 05:00:43 プライベート♪
思索
黙劇「杳体なるもの」 四
――ふっふっふっ。「私」のゐない「私」もまた極楽と地獄の間を揺れ動くのさ。


――ちぇっ、《存在》はやはり確率零と一の間を揺れ動く。つまり、無と無限の間か……。詰まる所、あらゆる《存在》は無と無限の間を揺れ動かざるを得ない! 而して、それは何故か? 


――へっ、《存在》しちまってゐるからに決まってをらうが! 


――ちぇっ、この煮ても焼いても喰へない《存在》に先づ《吾》が《重なり合ひ》、そして《杳体》が《重なり合ふ》。またまた愚問だが、そもそも《杳体》とは何を淵源としてゐるのかね? 


――パスカルの深淵にもんどりうって飛び込んだ時の《自由落下》する《意識》の有様にその淵源を持つと言へば少しは解かるかな? 


――《自由落下》する《意識》の有様? 


――パスカルの深淵とは特異点の別称さ。


――さうお前は言ひ切れるのかね、特異点の別称だと? 


――ああ。ここでさう言ひ切る外あるまい。パスカルの深淵が特異点の別称だと。


――つまり、その《特異点》にもんどりうって飛び込んだ《存在》の《自意識》が《自由落下》する様が《杳体》の尻尾を捕まへる鍵といふ訳かね? 


――へっへっ。この《意識》の《自故落下》が曲者なんだ。


――ふむ。《意識》が《自由落下》するとは《自意識》が《吾》からずり落ちることを指してゐるのかね? 


――さう解釈しても別に構はぬが、《吾》が「私」より先に《自由落下》してゐるとしたならば、へっ、「私」は永劫に追ひ付けない《吾》をそれでも尚追ふ構図もあり得るぜ。


――ふむ。《吾》が「私」より先に既に《自由落下》してゐるか……。ふっふっふっ。哀しき哉、《存在》は! しかしだ、未だ解からぬぞ、そのお前が唱へる《杳体》が! 


――《杳体》は杳として知れぬ何かだと最初に言った筈だがね。


――それさ。杳として知れぬ《もの》が《存在》の態を為し得るのか? 


――へっ、面白くなってきたぜ。お前は今《杳体》を《もの》と形容したのに気付かなかったのかね? ふっふっ、堂々巡りの始まりか――。だから、《杳体》が《存在》の態を為すか為さぬかは《主体》次第だとこれまた最初に言った筈だがね。


――それではその《主体》とは何を指しての《主体》とお前は言ふのか? 


――ふっふっふっ。これも最初に言った筈だが、《主体》とは此の世の森羅万象が自身が《存在》する為には如何あっても持ち堪へなければならぬ《もの》さ。


――すると《存在》は全てそれが何であらうと《自意識》を持つと? 


――ああ、さうさ。《存在》する《もの》はそれが何であれ、哀しき哉、《自意識》を持ってしまふ。


――これも愚問だが、《杳体》にとって神とは何なのだ? 


――藪から棒に何だね? 神と来たか……。さて、何としたものかね、神は――。


――神は《杳体》ではないのか? 


――神は《杳体》でも構はないし《杳体》でなくても構はない、それが神さ。


――神もまた蜃気楼の亜種かね? 


――蜃気楼といふよりもVision(ヴィジョン)、つまり、《幻影》の類に相違ない。


――《幻影》? 


――《幻影》といっても幻の影だぜ。何の事だか察しがつく筈だが……。


――幻に影があるといふことはその幻は《実体》といふことか――? 


――さう。幻といふ《実体》、それが神さ。


――それでは幻といふけれど、それは実際のところ、何の幻のことかね? 


――ぷふぃ。《私自身》の幻に決まってをらうが。外に何が考へられるといふんだね? 


――ぶはっ。《私自身》の幻が神? 馬鹿らしい。神とはそもそも自然の別称ではないのかね? 


――自然もまたそれが《存在》する以上、《自意識》を持つのは自明の理と考へられる……。つまり、何もかもが《私自身》に帰すのさ。更に言へば神とは彼の世にゐる《私自身》といふ《実体》の幻さ。


――彼の世にゐる《私自身》の《実体》? 彼の世への《私自身》の《表象》の投影ではなく、《私自身》の《実体》の幻と? 


――彼の世に《私自身》の《表象》を投影したところで、ちぇっ、それは虚しいだけさ。


(四 終はり)
TB(0) | 記事URL |コメント |通報
画面TOPへ [最新順表示]  1 件
Profile
積 緋露雪
性別男性
年齢45歳
誕生1964年2月25日
星座うお座
血液O型
身長172cm
体型痩身
職業物書き
地域関東
性格穏やか
趣味読書,クラシック音楽鑑賞
チャーム特になし
自己紹介
3度の飯より思索好き今もって独身
Parts

にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ
にほんブログ村 哲学・思想ブログへ
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へ
にほんブログ村 科学ブログへ
にほんブログ村 科学ブログ 物理学へ
ブログランキング・にほんブログ村へ
ブログランキング・にほんブログ村へ
Favorite
お気に入りはありません。
パーツはありません。
今日
今月
累計
掲載情報などの無断転用・転載を禁止します。著作権は 株式会社ソフトウエア開発 に属します。
本サイトに関するお問い合わせ、広告等の掲載依頼は ソフトンハウス運営チーム までご連絡ください。