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積 緋露雪
虚妄の迷宮
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思索に耽る苦行の軌跡
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2009/02/23 04:03:13 プライベート♪
思索
幽閉、若しくは彷徨 廿一
――其処に滅び行く《もの》の悲哀はあるかね? 


――へっ、ありっこないさ。仮にその《悲哀》があったとしてもだ、《主体》はとことん《主体》であり続けたいが為にその《悲哀》に冷笑を浴びせ掛けるに違ひない。それ程まで《主体》は醜い生き物なのさ。つまり、《新体》は夢のまた夢だ――。


――……、ところが仮に《世界》が先に相転移をしたならば、《主体》は尚も《主体》であることは不可能なのだから《主体》も変容せざるを得ないのじゃないかね? 


――もしさうだとしてもだ、《存在》は《自意識》から遁れられはしない! 《世界》もまた己の《自意識》から遁れられやしないのさ。《自意識》に例外はあり得ぬのだ。


――つまり、《主体》の解脱、つまり《新体》は泡沫の夢だと? 


――違ふかね? 先づは《主体》をとことん生き抜いてみるんだな。それで己の醜さをその目に焼き付けるんだ。さうしなければ何にも始まりはしない! 


――後世出現する《主体》の為に? 


――ああ、さうだ。死んだもの達と未だ出現ならざる未来の《主体》の為に、己を生きる《主体》はその醜悪極まりない生き方を味はひ尽さねばならない。それはこの《世界》も《宇宙》も例外ではない。全ての森羅万象は愚劣極まりない《自意識》の傍若無人ぶりを味はひ尽くさねばならぬ定めなのだ。


――それが現在存在する《もの》の存在せざる《もの》達への礼儀だとして、例へば《自意識》を徹底的に虐待するとすれば、その時《主体》は尚も《主体》であり続けるのかい? 


――ふっ、既に《自意識》は虐待の極みを受けてゐるじゃないか? 


――それは《存在》すること自体がそもそも《自意識》への虐待だといふことかね? 


――違ふとでもいふのかい? 


――へっへっへっ、また堂々巡りだね。


 彼の闇の視界は既に闇である事に堪へ切れず、多分、脳といふ五蘊場が勝手に網膜に刺激を与へてゐるに違ひないのだが、薄ぼんやりと淡く更に淡い極小の光の粒子群の帳を彼の視界に浮かび上がらせてゐたのであった。彼は再び瞼をゆっくりと閉ぢて彼の闇の視界に自発した淡い淡い淡いその光の帳をぼんやりと眺めるのであった。


――へっ、どうも《世界》の方が《主体》よりも先に相転移しさうだね。


――その時、《世界》は物理的変化を劇的に遂げるが、そんな環境に順応すべく《主体》も変はらざるを得ないのじゃないかね? 


――……、多分、《主体》は《存在》が《存在》する限り《世界》が相転移しようがしまひが存続するに違ひない。但し、《実体》は最早相転移以前の《実体》と同じではあり得ない《何か》に《世界》と同じく相転移を遂げる。そして《反体》も然りだ。


――すると《魂》も相転移する? 


――《魂》は、つまり、相転移し見事《変容》を成し遂げた《実体》と《反体》による対消滅から派生するSolitonの如き未知の孤立波は、未知の《何か》に変化はするかもしれぬが、多分、その実質は何の変化もないに違ひない筈だ。


――何故変化はないと? 


――相転移したとはいへ、《世界》は相変はらず《世界》として、そして《宇宙》は相変はらず《宇宙》としてしか《存在》しないからさ。それに《魂》は未来永劫消えぬ未知の孤立波だと言った筈だがね。


――それは相転移によって滅亡した《前世界》についても、滅亡した《前宇宙》についても同じだと? 


――ああ、同じだ。相転移によって滅亡した《前世界》の、そして《前宇宙》の《魂》は不滅の孤立波として此の世を彷徨ふ……。


――Solitonの如き孤立波は如何あっても未来永劫此の世を彷徨すると? 


――特異点とて同じ事だ。


――つまり……《存在》は無と無限の間を尚も揺れ続けると? 


――さうでなくて《存在》が《存在》を味はひ尽くせるかい? 


――それは詰まる所、《存在》がその内部に特異点を隠し持ってゐる故に必然の事といふことだね? 


――ああ、《存在》にとって無と無限は何としても捩じ伏せておかねばならぬ鬼門に外ならない――。


(廿一の篇終はり)



自著「夢幻空花なる思索の螺旋階段」(文芸社刊)も宜しくお願いします。詳細は下記URLを参照ください。
http://www.bungeisha.co.jp/bookinfo/detail/978-4-286-05367-7.jsp
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Profile
積 緋露雪
性別男性
年齢45歳
誕生1964年2月25日
星座うお座
血液O型
身長172cm
体型痩身
職業物書き
地域関東
性格穏やか
趣味読書,クラシック音楽鑑賞
チャーム特になし
自己紹介
3度の飯より思索好き今もって独身
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