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| | | | | | | | | | | | | | | | | 2014/12/31 12:51:36 ニュース全般 | | | 春樹の話をした | |
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約3年前、2012年のお正月に私はニーチェの『ツァラトゥストラ』を読んでいた。 ニーチェのせいにするわけではないけれど、2012年は滅茶苦茶な一年になった。今でもそのツケを払っている。きっと一生、あのツケを払い続けることになるだろう。
年始に読むべき本について考えいる。
今、部屋にあるのは三島由紀夫と川上弘美の本だけ。 キルケゴールもあったのだけれど、先ほどゴミに出した。約2年ほど親しくしていた人から誕生日に貰った本だったけれど、彼にひどく傷つけられ、私もまた彼をひどく傷つけ、もう会うことはないだろうから。
社会人をやっていると、悪いと思っていなくとも謝ることや、心から詫びても「誠意が感じられない」なんて言われることがあって、ああ理不尽だなあと思うのだけれど、そうしないと生きていかれない。
彼はとても正直な人だから、謝らなかった。彼は自分の非を一切認めなかったし、私が何に腹を立てているのかについても、理解しようとしなかった。「私より、多くの本を読んでいるのに、どうして他人の気持ちが分からないの?」彼は「分かりません」と答えた。おしまい。
彼はしばしば「人とどう接して良いか分からない。何を話して良いのか。人が怖い」と言っていたけれど、少なくとも私の前では、ただの寡黙な男だった。
渋谷にあるアメリカン調のBARで「あ、ピニャコラーダ。村上春樹が好きな先輩が、よくこのお酒の話をしていた」と言うと、「実は僕も、村上春樹が好きなんです」と話し始めた。ひとしきり話し終えた後、「あ…」と恥ずかしそうにする彼に「ねえ、本当に、人と話すのが怖いの?それとも、私のこと、ロボットか何かだと思っている?」と笑って訊ねた。「人間だと思っています。人が怖いのは本当です。あなたは、裏表が無さそうだから」といったことを言われた。私、その言葉で、彼が気を許せる数少ない人間のひとり、と思い上がってしまったみたい。
彼とのことは、もう良い。
そうそう、ニーチェやキルケゴールより村上春樹の方が、よっぽど役に立つ。
数か月前にも、東京大学文学部卒の男の人と村上春樹の話をした。
議題は『ノルウェイの森』の直子とミドリについて。 「若い頃は、直子のような、今で言う“メンヘラ”な女の子を救いたいと思うのだけれど、自分にはその力が無いことに気付き、ミドリのような女の子に惹かれていくものなんだよ、男は」と、彼は言った。「じゃあ、今から苺のショート・ケーキを買ってきてくださいな。窓からぶん投げてあげる」なんて言うと「それも、やっぱり嫌だなあ」。
私、『ノルウェイの森』を読んで、19歳で「私のこと傷つけないでね。私これまでの人生で十分に傷ついてきたし、これ以上傷つきたくないの。」なんて言うミドリを、明るくハツラツとした女の子だと認識する男の人、好きじゃあ無いなあ、浅はか過ぎると言おうとしたら、カフェのフロアでお皿が割れる音がして、話が途切れてしまった。
私の好きな作家は三島由紀夫と太宰治。 共通点は自殺したところ。だから何となく、話すのに気後れする。
今年、初めて、三島由紀夫について話が盛り上がった時はとても嬉しかった。上野のBARで、外国人の同僚と。「好きな曲を流しますよ」と言われ、数少ない私の知っている洋楽の中から、カッコ良さそうな曲を選曲して。アナログ・ジュークボックス。
学生時代はどんなことを学んでいた?なんて話で「俺は三島由紀夫の研究をしていたんだ」と聞き、三島由紀夫の作品しか知らない私は思わず食いついた。男らしさ、日本人らしさに拘った三島由紀夫と、自分を重ねて生きてきたことについて、うんうんと聴き入った。客は私たちだけで、選曲した曲が延々と流れ続ける。私の知らない三島由紀夫と、隣にいる彼の人生について考える。その後に見た夜桜を、来年も彼と見ることは無いだろう。次の春までに再び、三島由紀夫で盛り上がれる相手と出会えるかしら。
ひとしきり書いたけれど、私、男の人と喧嘩してばかり。 年始はくだらない漫画でも読んで、お腹抱えて笑っちゃおう。 太陽に向かって
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