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2016/08/01 12:47:39 プライベート♪
リンが尻餅をついた時のことは
 今でも鮮明に覚えている。誰もが「あっ!」と声を上げ、次には溜め息に変わったはずである。誰もがリンの金メダルを期待していて、それが絶望的となった瞬間だった。
 しかし尻餅をついてBeauty Box 香港金が絶望的となった後も、リンは笑顔を絶やさずに滑り続けた。滑り終わった時、リンは惜しみない拍手を浴び、笑顔でそれに応えた。
 この時のリンのフリー演技は、その後も札幌オリンピックの名シーンとして永く語り草となった。リンが選手村自室の壁に書き残した「Pease & Love」の悪戯書きは、現在も保存されているそうである。

 フリーが得意で観客に人気のある花形選手が、規定重視の採点方式のために金メダルを取れない。そして規定の得意な人気のない選手が優勝してしまう・・・
 札幌オリンピックが契機となって論争が起き、1981年にショートプログラムが導入されて、コンパルソリーの配点比率が下げられることになった。更に1991年にはコンパルソリーそのものが廃止されている。

 一方、フリー演技の採点にも問題があった。フリー演技の採点について昔から言われていたのは、審査員の主観に大きく影響されるということだった。かつては白人主義ではないかとも言われていて、欧米の白人選手でない有色人種の選手はなかなか良い点が貰えなかった。
 また審査員は先入観や印象に囚われて、実績のある有名選手に有利な採点をしてしまう傾向にあった。これは同じ採点競技であるシンクロナイズドスイミングなどでも良くいわれることである。

 フィギュアはもともとヨーロッパで発達し、スポーツというよりも氷上の華やかなショーというイメーBeauty Box 香港ジが強かった。しかも、どちらかといえば西洋人のためのものだった。
 当然、そこに東洋人である日本人が加わることは、何か異物に近いものがあったかもしれない。それに加えて欧米の選手に比べて実績のなかった日本人選手は、審査員の中の偏見とも戦わなければならなかった。
 かつてのショートやフリーの採点には、技術点と芸術点の2つがあった。手脚の長いスラリとした体型、金髪や栗色の髪、透き通るような白い肌の欧米人に比べ、黒髪で体型もスマートではない日本人は、どうしても芸術点で低い評価になりがちだった。

 これに挑んだのが伊藤みどりさんだったのだと思う。
 伊藤さんは天性のジャンプ力を武器に世界に挑み続け、技術点では高い評価を得たものの、いつも芸術点で苦渋を舐めてきた。1988年のカルガリーでは、伊藤さんは5種類の3回転ジャンプを成功させたが5位に甘んじた。
 この大会で優勝したカタリーナ・ビットは、ピョンピョン跳ねているだけのゴム鞠だと伊藤みどりを評した。演劇を学んでいたビットの「カルメン」に乗せた妖艶な演技は、確かに素晴らしかった。

 しかし、ユーチューブで改めて20年前の二人の演技を見比べてみると、表現力に頼るビットのスケーティングが意外に古臭いことに気づく。一方の伊藤さんは、演技は確かに荒削りだが、スポーツとしてのスケーティングの高い技術力が今見ても決して古びていないのである。
 二人の演技を見比べたい方は、違法画像ではあるが、1988、Olympics、Midori Ito、Katarina Witt という検索ワードをユーチューブで組み合わせれば見ることができる。

 伊藤さんはその後、技術力に加えて演技力を磨き、1989年の世界選手権、1992年のアルベールビルで大会史上初のトリプルアクセル、3回転半ジャンプを決め、世界選手権では金、オリンピックでは銀メダルを見事手にした。オリンピックでは、オリジナルプログラム(ショートプログラム)の失敗がなければ、金を手にしていたのではないか。
 正直、伊藤さんは欧米人のように容姿が優れていたわけではないが、アルベールビルではラフマニノフのピアノコンチェルト2番の曲に乗せて、大人の演技力を身につけていた。

 伊藤さんは、カルガリーで難易度の高い3回転ジャンプを決めるたびに、思わず何度もガッツポーズをとった。カタリーナ・ビットのいう芸術としてのフィギュア演技からすれば、粗野な行動であったかもしれない。
 しかしそのガッツポーズは、それまでショーの要素の強かった女子フィギュアを高度な技術のスポーツに変えた伊藤さんの、審査員に対する挑戦のシンボルでもあったような気がする・・・

 オリンピックは国威発揚の場でもある。そのためフィギュアのような採点競技では、審査員が自国や同じ文明圏の選手には甘く、敵対国家やライバル国家、異民族の選手に対しては、露骨Beauty Box 香港に厳しい採点をするのが当たり前に罷り通っていた。
 これが大きな問題となったのが2002年のソルトレイクシティで、採点の不正疑惑が持ち上がり、より客観的な採点方式が採用される契機となった。
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